特定非営利活動法人 グリーンラインを愛する会

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10,ゴミの山との奮闘記「絶対犯人見つけちゃる!」

10,ゴミの山との奮闘記「絶対犯人見つけちゃる!」

グリーンラインで私たちがゴミの山と格闘する内に、次第に行政の中にも私たちの考え方を理解し、協力してくれる人たちが増えてきた。福山市役所で言えば最初は大浜観光課長、広島県福山地域事務所で言えば高橋所長・胡子道路管理課長、森林管理署では篠原主席森林官(いずれも当時)と言った方々だった。彼等はそれぞれの立場から実に貴重な助言やサポートしてくださった。私はこのような人々のおかげで、行政の立場やものの考え方、事業の進め方などを教わった。そのことによって「どうすれば行政が協力してくれやすくなるか?」「どうすれば行政の立場で喜んでくれるか?」と言うことが分かるようになった。

また、マスコミ関係者の中にも、私たちの「公共の場所の維持管理の第一責任は私たちにある。まず私たちに出来ることから始め、私たちの手に負えない部分のサポートを行政に期待しよう。」と言う基本的なスタンスに理解を示し、何かと好意的な助言や支援をしてくれる人も増えてきた。

それに連れて現地でも少しずつ変化が見え始めた。あれほど増え続けていたゴミが減り始めたのだ!

理由のひとつは福山市の協力である。ゴミの回収に南部事業所を始め窓口が好意的な対応をしてくれるようになったおかげで、我々は心おきなく(笑)ゴミを拾うことが出来る様になったのだ。最初は「これを拾うのは良いけれど・・・」と気が重かったのとは雲泥の差である。

また、「グリーンラインでゴミを捨てると面倒なことになる」と言うことが広がっていったことも、ゴミの減少を加速した。私たちはただゴミを拾っていたのではなかった。ゴミの中で捨てた人間が特定できる物を徹底的に捜索した。探せば結構あるのである。普通に考えれば何もわざわざ山の中まで持っていって、後ろめたい思いをしながら(しないのかも知れないが)、検挙され罰金を納める危険を冒しながらゴミを捨てなくても、わずかの手間や費用さえ惜しまなければ、簡単に処理できるゴミである。それを公共の場所に捨てる程度の人である。必ず証拠を残しているのである。たとえば紙くずの中には「葉書や手紙」「請求書や領収書、あるいは督促状」など。段ボール箱には送り状やエブ札等々、幾つも発見することが出来る。それらを手がかりに、ある場合には直接本人に電話をして取りに来るように促した。それでも言うことを聞いて貰えなかったり、逆にすごまれたり、あるいは連絡が取れなかったりしたら警察にも通報した。グリーンラインの所轄は福山西警察署であるが、福山西警察署も鞆・水呑等の出先も、好意的に対応して協力してくれた。おかげで毎年何人もの「不法投棄犯」を検挙することが出来た。そしてこのような活動の様子をマスコミが取り上げてくれて、多くの人たちに知って貰えるようになり、「グリーンラインにはゴミは捨てられん」という声が広がっていった。

少し余談になるが、「ゴミを捨てる」と言う犯罪行為に対する一般の人たちの認識も、最近は少しずつ変わってきているように思うが、まだまだ犯罪としての重大さを感じていない人もあるような気がする。程度にもよるが不法投棄をした場合、5年以下の懲役または1000万円(法人には1億円まで加重ができる)以下の罰金にするなど、厳しい罰則が設けられている。飲酒運転などよりは数段厳しく罰せられるのだ。知っておいて欲しい。

それだけではない。不法投棄されたゴミの回収は、実は不法投棄をした本人にも被害を与えているのだ。仮にこの回収を行政に任せたとしたら、莫大な税金がこれに費やされることになる。「天に向かって唾を吐く」とはまさにこのことである。

さてそれはともかく、私たちは毎月せっせとゴミを拾い、ゴミの山から手がかりを探し、またゴミを捨てにくい、捨てられない工夫も重ねていった。たとえば公園などにあったごみ箱の撤去などもその一つである。「ゴミは自分で持ち帰る」と言う当たり前のことを、是非みんなにやって貰いたかったからである。そしてその工夫や努力は見事に効果を表した。

そんな風にしてゴミを拾っている内に、私を始め会員のみんながゴミをそしてゴミを捨てる人を、見る目が少しずつ変化し始めたのだ。次回はグリーンラインに捨てられたゴミと、そのゴミの向こうに見える人の暮らしについて話してみたいと思う。

taiyo10
不法投棄のゴミから手がかりを探す会員達

大陽新聞連載~よみがえれグリーンライン~

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