特定非営利活動法人 グリーンラインを愛する会

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22,明日があるさ、夢がある~観光福山の未活用財産~

22,明日があるさ、夢がある~観光福山の未活用財産~

私がグリーンラインに関して描く夢にはいくつもの視点がある。そのいくつかについて触れてみたいと思う。前回は「市民の憩いの場所としてのグリーンライン」について話したので、今回は「観光の視点から見たグリーンライン」について触れてみようと思う。
最近羽田福山市長は「観光にもっと力を入れるべきだ」と職員に発破をかけて居られるとお聞きしている。永年「雑用専業」等と陰口をたたかれ、予算でも人員配置でも冷遇されてきた感のある観光課に久しぶりに日が差し始めているという話も聞いた。誠に結構なことだと思う。

福山は旧日本鋼管(元JFE)の誘致以来工業都市として発展してきた。「福山」と言えば工業の街というイメージが強かったと思う。バブル崩壊以降の経済状況は工業依存型の都市経営にかげりが見え始めていることを証明している。そごうの撤退、ロッツの苦戦、グランドホテルの廃業、中心商業地の凋落など都市の活力が失われつつあることは疑いようもない。そのような中でもう一度観光産業に着目し、観光収入を都市活力維持の財源として活かそうという市長の見識はさすがと言うべきであろう。その考えに沿うならば福山にある観光資源の見直し、再評価は是非とも行うべき作業と言えるだろう。その一つが「グリーンラインの観光資源としての評価」ではないかと思う。
言うまでもないが福山の最大の観光資源は鞆の浦である。あの美しい自然景観と、町並みの歴史的価値は日本は言うに及ばず、世界に誇るべきものである。しかし、観光行政に携わる人たち、観光産業に携わる人たちが、果たして本当にその価値を理解しているのだろうか?私はそのような人たちの認識に疑問を持たざるを得ない実例を多数見聞している。

例えば観光協会が発行する観光パンフレット、ホテル等が作成するパンフレットなどにグリーンラインが紹介されていることはほとんどない。同様に市役所の観光課もグリーンラインに対する知識や認識もすこぶる低い。つい最近までグリーンラインの観光用の写真もなければ、全線の距離や、その途中にある施設の名称や場所、どこからどんな景色が見えるかすら知らない職員さえ存在していたのだ。さすがに今はそれほどお粗末な職員は居ないとは思うが・・・。担当部署の観光課がそうだから、無論福山市の広報にも桜便りすら掲載されない。
私は全国各地をほぼ月に1度は訪問している。また福山を訪ねてくださる方をご案内し、色々なお話を聞かせていただく機会も多い。そんな中で良く耳にするのが「これだけの自然や景観のグリーンラインを、どうしてこんな荒廃した姿のまま放置するのか?勿体ないだろう。」と言う声である。誠にごもっともな意見で、他都市であればこれだけの場所を放置したりはしていない。瀬戸内海沿岸の景勝地で思いつくだけでも「六甲山・摩耶山」「淡路島」「屋島」「鷲羽山」「野呂山」等々何処をとっても地域の人々や行政の力の入れようは福山市とは格段の差である。グリーンラインを含む鞆の浦の景観はこれらの景勝地に勝るとも劣らない場所であるにもかかわらずである。
以下に私が考えるグリ-ンラインの観光資源としての価値を述べてみたい。

まず何よりもグリーンラインの持っている豊かな緑である。家の建て込んだ海岸沿いの道路を「平面移動」して鞆の町に入るのでなく、緑の山並みを縫って走るグリーンラインを走ることの快適さは言うまでもない。最もその為には「バスの屋根をこする樹木」とか「風が吹く度に倒れる樹木」だとか解決しなければならない問題は残っている。それに最悪なのは「鞆の町にはいるための道路」の問題である。グリーンラインを通過して沼隈側から鞆の町に入ろうとすれば「うをの里」から先は軒を削るほどの狭い道路である。観光バスは無論の事、乗用車でも大変な道である。しかもこちら側には駐車場すらない。
また、グリーンラインの途中から「白茅地区」(鞆の町の福山市街地寄りの入り口)に降りる道もあり、こちら側には市営の駐車場もあるのだが、肝心の市道(通称スカイライン)が狭くて荒れていて観光バスは通行できない。
要するにグリーンラインを走り、そこから箱庭のような鞆の町を観望し、美しい多島海を楽しみ。「次に鞆の町に降りてみよう。」と思ってもそれを阻む障害が幾つもあるのだ。これを解決しない限り鞆の浦観光に役立つグリーンラインにはなり得ないのだ。事実たまにグリーンラインを走るバスは鞆の町を車中や後山公園で眺めた後は、阿伏兎観音や内海そして尾道へと流れてしまっている。本当に勿体ない限りである。鞆の町の魅力はその町中だけにあるのではない。グリーンラインから見おろす鞆の町の美しさ、空と海と町並みのえも言われぬハーモニー・・・これを見て貰わずしてどうして「鞆の町の魅力を堪能してください」等と言えるだろうか?

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グリーンラインから見る美しい鞆の景観

 

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通称スカイライン・・・道路を覆う樹木、ひび割れに草が生える路面

大陽新聞連載~よみがえれグリーンライン~

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