11.「遠い道を行くコツ」
長距離を趣味とする友人が居ました。彼からこういう話を聞きました。
「長い距離を走る上で一番大切なことは、自分でレースの組み立てを考え、その組み立て通りのペースで走ることだ」と。
レースは生き物で、そのレースが序盤速いペースで争われることも有れば、逆に自分のペースよりも遅いペースになることもある。
相手の選手も、序盤に強いのも、中盤でペースをあげるのも、殆どゴールと言うところでスパートするのも居る。
そのペースに惑わされず、自分のペースを守ることだと聞きました。
自分よりも早い選手はいくらもいる。
その選手達のペースに引きずられれば、必ずゴールよりも早くにバテてしまう。レースで何より大切なことは順位でも記録でもなくて、自分のペースで如何に走りきるかだと彼は言うのです。
そうすればおのずから自分の実力通りの成績を得られるのだと言います。
これは私たちの仕事の上にも、実に示唆に富んだ言葉だと思います。
特に私のように戦後のベビーブームに生まれた者は、幼い頃から常に周囲と競わされてきました。
「ゆりかごから墓場まで」一生が競争だと繰り返し教えられました。
日本自体も「欧米に追いつき追い越せ、ぶっちぎれ!」と眉をつり上げていた時期です。
モーレツ社員などと言う言葉も生まれました。
その中で如何に多くの人たちが自分を見失い、自分の生きるペースを乱して、人生の半ばで脱落していったことか・・・。
仕事の能力、仕事の技能、仕事のペースは一人一人違います。他人のペースに惑わされることなく、自分のペースを守った仕事をしたいものです。
むろん、ここで言うマイペースとは、世間で言われるマイペースとは意味が違います。
世間ではマイペースとはゆっくりのんびりやろうよと言う意味ですが、ここで言うマイペースとは、自分の力を100%発揮し続けることが出来るペースという意味です。
ですから決して余裕綽々、アフターファイブのために体力や気力を温存しておこうというような気分では無いことは当然です。