06.「あなたは正座ができますか?」
先日ある人と雑談をしているときに、「最近の若い人はちゃんとした姿勢がとれない」という話をされました。その方は60歳を過ぎた今でも、週に一・二度水泳をしている人で、
その人が言われるには「最近の若い人は、ちゃんと気をつけの姿勢がとれる人がいない。」「正座が出来る人がいない。特に女性でも正座の出来ない人がいる。5分、10分ならなんとか窮屈そうな格好をして座っているが、30分も座っていると立てられなくなる。」そう言われました。
そういう話をしていると、それはただ姿勢の問題だけではないな、ということを感じました。最近、若い人の話ぶりとか、心のもちかたとか、文章の書き方とか、全ての面においてきちっとした姿勢がとれない人が多い。仲間内で話す話し方と、外に向かって話をきちっとしないといけない時、友達に手紙を書く時と、お客様に手紙を書くとき、あるいは上司に報告書を書くとき、そういったときにきちっと「これはよそゆきだから」というような正座の姿勢がとれない。そういうことはあるようだなとその方の話を聞きながら感じました。
「30歳を過ぎても、話言葉と書き言葉の区別が付かない人間が社内にゴロゴロしている。いい大人が一体どういう文章を書いてるんだ。もう日本語はこのまま滅びてしまうのかな。」そう感じることがあまりに多いとも、その方は嘆いておられました。
そういった日本固有の美しい言葉というもの、折り目正しい、凛とした言葉が、どんどんと滅びていっている。そういった現状は私がいつも話している物作りの上にも、色んな所で影を落としているんではないかなと思いました。
もちろん、リラックスすることは決して悪いことではありません。何でもないときはおもいっきりリラックスして良いのです。例えば私は家にいる時、ほとんど座りさえしない。いつもゴロゴロゴロゴロ・・・。アシカかトドのような生活をしておりますが、ちゃんとするときにはきちっと正座が1時間は出来て、すっと立つことができる。それはただ畳の上で正座ができるというだけでなくて、普段は備後弁で「おどりゃ~すどりゃ~」と言ってても、出るところに出たら、私はちゃんとこういう話が出来ますというふうに話ぶりも変えられます。そういう切り替えというか、けじめが付けられない人が増えているのかも知れません。
みなさんも自分自身の問題としてちょっと考えてみてください。時にはきちっと正座をしてみる。気を付けをしてみる。それができますか?