特定非営利活動法人 グリーンラインを愛する会

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04.「あがく」

04.「あがく」

私の友人で学生時代陸上をやっていた人が居ます。その人と久しぶりにあったとき、彼がこう言いました。

「新聞やラジオで活躍は聴いてました。失礼な言い方になるけど、昔の丸山君からは想像も出来ないで、ずいぶん変わったものだなあと感心していました。」

何処がどう変わったのか重ねて聞くと彼はこう言いました。

「昔の丸山君はとても良いかっこしいで、クールなところがあった。悪い言い方をすれば冷めてるところがあった。勉強でも、みんなが試験の日に教室で何処が出るとか話してる横で漫画を読んだりしてたし、校内マラソンでもみんなが必死で走ってるのに、すました顔して歩いたりしてた。丸山君は決して笑わなかったし、怒ることもなかった。はっきり言えばヤナ奴だな~と思っていた。でも、今の丸山君はあがいてるって事がよく判る。」

彼が言うには陸上でも、伸びる選手、良い記録を出せる選手は皆、後一息のところであがける選手なんだそうです。ゴール前までみんな全力疾走で走ってきて、もう誰もがいっぱいいっぱい。その僅かな時間と距離で、もう一歩二歩あがける選手、もがける選手が勝つんだそうです。勝つ者も負ける者も、差はほとんどない。あるのは諦める奴と、最後までもがき、勝利への執念を捨てない奴の差があるだけ、それが勝者と敗者を分けるんだと彼は言うのです。

クロスワードパズルでも、ちょっと考えて分からなければ答えを見てしまう人。
コンピューターゲームで言えば、ちょっと壁にぶつかるとそこでリセットしてしまって、また最初からやろうとする人。
潔いと言えばそうかも知れないけど、そう言う人はいつまでも同じレベルまでしかいけなくて、決して壁を乗り越えることは出来ないと彼は言います。

昔の私はまさにそうだったと彼は言うのです。言われてみればそうかなと言う気がしました。
仕事もずいぶん転々としました。あるレベルまでは頑張れるんです。
しかし仕事や人間関係で壁にぶつかると簡単に諦めてしまう。
いや、私は決して簡単に諦めてるとは思っていなかったのですが、あがくとかもがくという程苦しむことはなかった。

逃げていた。
逃げることが出来たからです。
仕事を辞めてもしばらくは失業保険がある。女房も働いてくれるだろう。
別にこの仕事でなくても、別に自分に向いた仕事がきっとある。
こんな難しい上司でなく、もっと優しくて頼りになる上司だってどこかにいる。
こんなどうしようもない同僚ばかりではない会社も多いはずだ。
いつもそう思っていました。そう、丁度青い鳥を探してさまようチルチルとミチルのようにです。
でも、今私は北斗電機工業の社長として、グリーンラインを愛する会の理事長として、あるいはいくつかの会社のアドバイザーとして、逃げることの出来ない立場にいると自覚しています。逃げようと思えば逃げられなくはないのかも知れないけど、逃げられないんだと覚悟したんです。

そのことが私を強くしてくれたんだと気付きました。
同時に、逃げなければその場所にチャンスも幸運も、やりがいのある仕事も、頼りになる上司も、すばらしい仲間もいて、自分を待ってくれていることに気付いたのです。

どこかに理想の職場や理想の仕事があるのではないのです。
それは自分があがき、もがいて作るものなのです。
それを知ったときに、自分の運命の扉が開いたような気がします。

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